千差万別みそ煮込みうどんトークライブメモ(第33回尾張名古屋の職人展)

みそ煮込みの知識を深めるトークライブ

たべる劇場番外編、今回はたべない劇場、話をたべる劇場の巻。

2016年9月17日(土)と18日(日)に名古屋のオアシス21とNHK内で開催された「第33回 尾張名古屋の職人展」

名古屋の職人技を一般に人にも知ってもらう趣旨のようで、特設会場のブースではさまざまなジャンルの職人技を目の前で見たり、また体験することができるイベントだったようです。

尾張名古屋の職人展のWEBサイトはこちら。

今回のお目当ては2日目の14時から行われた「千差万別みそ煮込みうどん」というトークライブ。みそ煮込みうどんについて語るという、一体どの層を狙ってやっているのか分からないほどにニッチですが、個人的には興味津々すぎるほどに興味津々なトークイベントでしたので、早速出かけることに。

楽しい話が聞けましたのでメモかわりに内容と感想などを。

会場に着いたのは14時20分頃。すでにトークライブは始まっており、特設会場奥のステージは盛り上がりを見せております。ステージ前の座席は45くらいかな、年配の方で席が埋め尽くされていました。やっぱり若い人はこういうイベント自体に興味が沸きにくいのかも。

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ステージ上には「金トビ志賀」の志賀さん、それから司会に名古屋を代表するみそ煮込みうどん店「角丸」の日比野さん、もう一人の女性の方はたしか「なごやめしエイトどえりゃあこむ」主催者のおひとり、福田さんと思われます。

うしろに座っていらっしゃるのは「三浦屋」の三浦さん、森川さんはおそらく「市川屋」の大将かな?もうおひとりは分かりませんでした。おそらくご紹介があったと思います、、うーん遅刻したのが痛かったなぁ。

(情報あればお知らせください。また、誤情報ありましたらご指摘ください。)

ステージ上では志賀さんが麺の素材でもある小麦粉についてお話の最中。金トビ志賀とは愛知県蒲郡市に本社を置く製粉メーカー。代表的なうどん粉「かもめ」、オーストラリア産とのハイブリッド粉「こまどり」をはじめ、愛知県産の小麦粉きぬあかり100%使用の「きぬあかり」などもリリース。愛知県内の麺類食堂には欠かせない存在で、東海圏のうどん好きなら必ず名前を知っている会社のひとつでもあります。

お孫さんにめっぽう弱そうな、とっても優しい表情が印象的な志賀さんは、見ているだけでもありがたくて、それこそ拝んだら御利益があるんじゃないかと思ったりして。そんなことを妄想していたらあんまり話を聞いていなかったのですが(ご麺なさい)角丸の日比野さんが「とにかく金トビさんの粉は使いやすい」というようなことをおっしゃっていました。

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続いては「だし」の話。三浦屋の三浦さんが登場。司会の福田さんによる「出汁と言ったら使っているのは鰹でしょう?」という名古屋麺あるあるなお約束のフリから始まり、実はかつおは使っていないという流れで話は進んでいきます。

みそ煮込みの出汁はムロアジが主流で、加えてソウダガツオやサバが入ります。配合としてはほぼ100%ムロアジであと少し他の何か入るようです。当然ですが各店舗で独自の配合があり、それが食べ比べる楽しさでもありますね。トークライブのテーマどおり「千差万別」な味があるわけです。

ちなみに三浦屋さんはムロアジ+サバ、角丸さんはムロアジ+ソウダガツオとのこと。個人的には超重要項目。テストに出るから赤丸つけといてください。食べに行く楽しみがまたひとつ増えました。

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続いては「みそ」の話。おそらく市川屋の森川さんが登場。福田さんの「みそと言ったら使っているのは八丁味噌に決まっとるでしょう?」という、これまたみそ煮込みあるあるなお約束のフリから始まり、赤みそだけじゃないんだよという話へ展開していきます。

実は愛知を代表する赤みそである「八丁味噌」というのは味噌の種類ではなくてブランド名のようで、この名前を使っていいのは現在のところ岡崎にある二社のみ。中身はほぼほぼ「赤みそ」なので、一般的に出回っている赤みそのことを八丁味噌と勘違いしている人が多いようですが、「赤みそ」は「赤みそ」だそうです。恥ずかしながら私もそのひとり。

そして驚愕の事実は、名古屋のうどん店では、みそ煮込みについては八丁味噌を使っているお店はほとんどないとのこと。そして、このあたりはご存じの方も多いかとは思いますが、みそ煮込みうどんは赤みそだけを使っているわけではないということ。甘みなどを出すために白みそもブレンドしたりするようですね。それぞれのお店の味の特徴として一番感じやすい「千差万別」がこの味噌でもあります。

ちなみに森川さんのお店では八丁味噌+赤みそ+白みそをブレンドしているそうで、「さっき八丁味噌はつかっとらんと言ったばっかりなのに」と思い切りツッコミが入っていました。そして角丸さんは赤みそを二種類使っているそうです。これも重要項目ですね。必ずテストに出ます。食べに行ったら思い出さないといけないな。

そして話は少し脱線して、煮込みと鍋焼きの違いについての話題に。うどん好きの諸先輩にはすでにご通過ご承知おきの内容ですが、、、

一言で言うと「麺」が違います。鍋焼きうどんは小麦粉と塩と水で打った麺を使用。一度茹でた状態で鍋に入れます。対して煮込みうどんは小麦粉と水だけで打った麺を仕様、生麺のまま鍋に入れて煮込みます。鍋焼きうどんは時間の経過とともに麺が伸びていくので、最初が一番美味しいのですが、煮込みうどんは時間の経過とともにだんだんと麺が出汁になじんでいくので、最後まで美味しくいただけるということになります。

どちらが美味しく感じるかは好みの問題ではありますが、個人的にこの「鍋焼きVS煮込み」の話は、煮込みうどんの面白さが良く伝わる話なんじゃないかと思います。

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トークライブの最後は具材の話。司会の日比野さんが今度は解説者としてタスキをかけます。みそ煮込みの具材は、それことお店によって「千差万別」ですが、ベーシックなものとしてあえて言うなら、油揚げ、ねぎ、しいたけ、花麩、かまぼこ、かしわ(鶏肉)、卵でしょうか。

いろいろいなお店でベーシックな「みそ煮込みうどん」と注文すると分かりますが、卵が入っていたり、入っていなかったり、かしわが入っていたり、入っていなかったり、デフォルトの状態が違うのが食べ比べるときの醍醐味でもあります。僕は個人的に味噌の風味と味を楽しみたいので卵はいらない派ですね。でも、あのお店の時は卵が欲しいとかね、いろいろ言いたくなるんですよね。蘊蓄とは興味のない人からすれば至極面倒くさいものでもあります。僕のような浅い知識の知ったかぶりと話をすると一番面倒くさいのご注意ください。

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さて、トークライブは終盤を迎え、実際に土鍋とコンロを使い、みそ煮込みのメイキングへ。ひとつはベーシックなみそ煮込み、もうひとつは牡蠣入りみそ煮込み。ステージから見てると職人が4人して小さな鍋を覗き込んでいるという、なんともシュールで見ごたえのない絵ですが、それをカバーするかのようにステージ横のモニターがいい仕事。ぐつぐつ煮立っていく様子も垣間見ることができました。

牡蠣入りのみそ煮込みを作りながら角丸の日比野さんが「本来、牡蠣を楽しむのであれば後から入れたほうがいいのだけれども、これはみそ煮込みうどんなので、素材の味をおつゆにしみこませて楽しんでもらいたいから最初から投入します」ということなことをおっしゃってました。

みなさん、みそ煮込みのお店でいろんなトッピングをあしらったメニューを見たことがあると思いますが、あれ、トッピングじゃなくて別の料理とお考えください。それぞれの素材の味が良く出たお出汁で楽しむみそ煮込みは、それぞれ全く異なる表情が前に出てくると思います。ひとつのお店で数種類のみそ煮込みを楽しむのが一番良く分かるかと思います。どうぞお試しください。

煮込んでいる間にそれぞれのお店の麺にも特徴があることを話してくださいました。教科書?敵なみそ煮込みの麺は少し平たい麺なのだそうで、森川さんのお店はその王道のような平たい麺、角丸さんの麺は、僕も初めて食べた時にこれが角丸さんの特徴とも感じたのですが、少し細くて丸い表情の麺をしています。あ、これもテストに出るからな。

それから日比野さんが面白い話をしてくださいました。みなさんみそ煮込みの麺って、箸で持ち上げてとんすいへ入れると思うんですが、あれ、作り手からすると見ていてひやひやするそうです。持ち上げている途中で麺が切れて鍋へドボン、飛んだお汁が服にビチャっとならないか心配で仕方ないそうです。職人さんがいつまでも健康でいられるよう、どうぞみそ煮込みの麺は箸では持ち上げず、とんすいへ少し入れて、とんすいと箸で引っ張るような感じで麺をすくってからお召し上がりください。

出来上がったみそ煮込みは会場のみなさんへ~~という訳にもいかず(保健所の許可関係が必要ですしね)司会の福田さんが実に美味しそうに舌づつみ。終始にわたって漫談のような調子で進行していくトークライブはこうして幕を閉じました。

トークライブの最中にスタッフと思われる方からパンフレットもいただきましたので、あわせて掲載させていただきます。

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興味のある食べ物の知識が深まるとまた食べに行くのも楽しくなりますよね。そして、すでに知っている情報でも職人さんや製造者の方からの話だとまた新たな発見があったりもして。個人的には有意義なイベントでした。

以上、現場の名古屋からでした。

みそ煮込みうどんがお好きな方への参考になればこれ以上嬉しいことはありません。実際に足を運んだみなさんのご意見・ご感想もお待ちしております。

【関連リンク】出演者の関連WEBサイトを掲載しています。

●金トビ志賀

創業大正6年、愛知・蒲郡。小麦粉と手打ちうどんにこだわった金トビめんの金トビ志賀 オフィシャルホームページ。

●なごやめしエイトどえりゃあこむ

●みそ煮込みうどんの角丸

●三浦屋(こちらはたべる劇場内の記事になります)

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さて、別の会場ではきしめん作りの体験コーナーがあったので足を運んたのですが、ふたりの年配の職人さんにレクチャーを受けていたのは小さな年頃のご兄弟。なんともほほえましい光景でして、これはおっさんが並んで体験してはいけないなと思い、またの機会にしました。

帰り際に会場でまたまた見つけた、表具の展示も個人的に面白かったです。(浮世絵の鑑賞が好きなものですから)

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