丸福うどん店で食べるきしころ定食

6月某日。

じりじりとうっとおしい暑さが名古屋にもやってきたある日、思い立ったようにきしころが食べたくなりました。

きしころというのは「きしめん」の「ころ」の省略形。名古屋の麺類食堂ではきしめんメニューのあるお店であれば、だいたい通用する言葉です。「ころ」の語源は良く分からないのですが、「きしころ」はざっくばらんにいうと冷たいきしめんを冷たいお汁でいただくという解釈で問題ないかと思います。ひっくり返して「ころきし」と言うお店もあった気がします。

今回向かったのは、名古屋市千種区池下。セントラルガーデンというハイソな飲食店が並ぶ高級住宅街の一番南をさらに南下していくと、昭和を置いてけぼりにしたような味わいのあるショーケースを左手に、興味のおもむくまま小道を入っていくとその突き当りにあるのは、今回の舞台「丸福うどん店」であります。

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写真を見ていて気がついたのですが、暖簾の左側、電話番号の当て字に注目。「シキュウヤレ」=「至急やれ」もしかしたら最盛期は出前で忙しいお店だったのでしょうか。お客さぁん、うちは純手打ちなんで時間がかかりますがね、なるだけ早くお持しますのでね。黒電話をガチャンと勢い良く切り、手際よく調理をして、岡持ちで出かける。引き戸のガラガラって音が出前の行き来でひっきりなしに鳴っていたのかもしれません。

そのガラガラを開けて入ると小さなテーブルが3つ、小さな小上がりが2つ。本当にこじんまりとした麺類食堂は、どこか懐かしさのある、こんな間取りじゃなかったはずなのに実家に帰ってきたような臭いがします。

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メニューにはありませんが「きしめんのコロを定食で」と伝えれば通じますのでご安心を。僕のようにびびりだと一度「きしめんのコロは出来ますか?」お店「はい、できますよ」僕「じゃあ、きしめんのコロを定食で」とこんなやりとりで注文を通します。メニューにないので失礼のないように確認を取るという感じで。

きしめんだったかコロだったか忘れましたか、おそらく茹で時間の関係だと思いますが、注文するといつも「少しお時間いただきますがよろしいですか?」と聞かれます。なんかね、これがいいんですよね。ああ、時間かけて作ってくれるんだぁって。理由なく感慨深くなります。大将、ワタシはね、シキュウヤレなんて野暮なことは言いませんよ。ただ、旨いきしめんが喰いたいだけなんです。

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10分ほど待って運ばれたきしめんコロ定食(390円+250円)おかずはコロッケとたくあんのみというシンプルな構成。もう一品、煮物などあると最高ですが、これでこのお値段なら十分でしょう。きしめんのほうは花かつお、おかげ、わかめ、かまぼこ、ほうれん草こそ入っていませんが、ほぼほぼスタンダードなきしめんトッピング。まあでも、見た目で特筆すべきはやはりこのお汁の色じゃないでしょうか。

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名古屋界隈の麺類食堂の中でもかなり真っ黒な部類に入ると思います。ところがこのお汁、醤油辛さは控え目で、どちらかと言うとみりんなのかな?甘さが目立ちますね。実は甘さが強いお汁は好みではないのですが、なんだかこちらのきしころのお汁は嫌いになれません。

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麺は柔らかめですがクタクタでもなくて、ほどよい噛みごたえもあります。もっちりでもなく強い弾力もない素朴な麺でしょうか。

丸福うどん店さんへは何度かおじゃましているのですが、丁寧に作ってくださった雰囲気が麺とお汁ににじみ出ておりまして、お店の雰囲気とあいまって、お汁の醤油がたまりかどうかは分かりませんが、それがたまらないわけです。

ゆっくり味わってお店をあとにしました。きしころとコロうどんしか食べたことがないのですが、他にも魅惑のメニューが多数あるので、お店のあの雰囲気を思い出したらすぐに出かけることにしよう。どうもごちそうさまでした!

以下、食べログ店舗情報です。

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